ジブリ作品の中で人気の高い作品の1つはなんと言っても千と千尋の神隠し。
この千と千尋の神隠しの中であるシーンで使用されていた『えんがちょ』というセリフは記憶に残っている方も多いのではないでしょうか?
この記事ではこの『えんがちょ』とは一体なんなのかについて紹介したいと思います。
『えんがちょ』のシーン
記憶がうろ覚えの方もいると思いますので、『えんがちょ』が使用されたシーンを振り返ります。
釜爺の部屋で傷ついた龍の姿となっていたハクを助けるため、ハクの口の中に千(千尋)が川の神からお礼としてもらっていたニガ団子を無理矢理入れて飲み込ませると、途端にハクは銭婆の契約印と共に黒い芋虫のような生き物を吐き出します。
吐き出されたその芋虫のような生き物は、慌てて逃げ出しますが、千(千尋)によってべっちゃっと踏みつぶされてしまいました。
ゾワゾワとした嫌な感覚のまま固まった千尋に対し、釜爺が『えんがちょ!千!えんがちょ』と千(千尋)対して言うと、千(千尋)はゆっくりと釜爺の方へ向き直りつつも両手の親指と人差し指で輪を作ると、釜爺が手刀のような動きでその輪を『切った』と言う流れのシーンです。
『えんがちょ』とは
えんがちょとは元々不浄のものを防ぐために囃したてる子供による口遊びのひとつとされており、語源事態は不明だが、『えん=穢れなどからの縁』『ちょ=チョン(切る擬音)』とされており、『縁を切る』ための意味として表現されている。そしてこの時に指先や身体で独特の印を結ぶことで不浄なものの感染を防げるとされている。
要するに汚い物や穢れなど不浄な物に触れてしまった時に自身をその不浄な物から守り、その縁を第三者に切ってもらうことによってその縁も完全に切り離すといったおまじないのこと。
つまり千と千尋の神隠しにおいては『黒い芋虫=穢れ』という不浄な物を踏みつぶした千尋は、両手で輪を作ることで縁から身を防御し、釜爺(第三者)からそれを切ってもらうことで穢れの縁を断ち切ったと表現されたシーンでした。
近年では聞かなくなった『えんがちょ』
筆者が子供のころはまだ微かにこの『えんがちょ』が残っていた記憶があります。
地方や年代によっても言葉や意味が異なってくるかもしれませんが、例えば幼少期に歩いている時などに草場に落ちていた犬の糞などを踏んでしまった時などまさに千と千尋の神隠しのように『えんがちょ』してもらった記憶がありますが、これが小学生などもう少し大きくなると、友達らも『うわー』といって逃げてしまうため、なぜか誰かにタッチすることで、その穢れを擦り付けているといった感覚でなぜか別の人に伝染したつもりになっていました。
しかし、近年では子供たちが遊ぶ環境がきれいになったりしたことで『えんがちょ』することが必要なほど汚いものが周囲に無くなったことで、だんだんと『えんがちょ』を聞く機会も無くなってきたように感じます。